本編:次の道を目指すあなたへ(第3弾)

「次の道を目指すあなたへ」シリーズ第3弾は、会社員⇒起業への道を選び、出版社の経営をされている高橋淳二さんをインタビューしました。質問の1つに「仕事で大事にしていること」をお聞きしました。その回答は、自分自身の仕事を振り返る意味でもとても参考になりました。是非、最後までお読みください!

【インタビューした人】㈱まる出版 代表取締役高橋淳二さん 1970年6月生 八王子市出身

―――主に起業までのキャリアを教えてください。

大学卒業後、アパレルメーカー入社。2年間勤務後、どこにも所属しない(無職)生活を3週間経験する。その後、編集プロダクション2社を渡り歩き、個人事業主から会社設立に至る。

―――新卒で入社したアパレルメーカーを2年間で退社した理由は何ですか。

洋服に興味があったというよりも、当時の社長の「人」としての魅力で入社した。海外事業部に配属され、製造から販売まで携わったが、海外(香港)の仕事では、現地に責任者が在籍し、仕事が回っていた。自分自身の存在感に疑問を持つようになり、出社しても仕事に向き合えず、「さぼる」ようになる。デザイナーの仕事が面白そうで「モノづくり」に興味を持つようになったが、自分の作りたいものは洋服ではなかった。その頃、同じ部署の先輩に沢木耕太郎氏の『深夜特急』を読むことを薦められて読み進めているうちに、自分は本を作ったり、文章を書くことに興味があるのだと気づき、入社してちょうど2年を境に、その先を決めずに会社を辞めた。

―――無所属(無職)の生活で感じたことを教えてください。

スポーツジャーナリストの道を目指そうとフリーで活動を始めてみたものの、それまでまったく畑違いのアパレルメーカーにいたので、取材のノウハウや人脈、文章を掲載してくれる媒体のツテがまったくなかった。外に出て取材のテーマを探すが漠然と時間が過ぎ、出費が増えていく。「ノウハウを身につけなければ、このままではまったく食べていけない」と遅まきながら気づき、「未経験者歓迎」の編集プロダクションの中途採用に応募し、採用してもらった。

―――転職先(編集プロダクション)での経験を教えてください。

未経験だが、ガイドブックや温泉宿、キャンプの取材や本のタイトルを考えたり、自由に任せてもらえ、即戦力として期待してくれた。原宿にオフィスがあり、仕事後は、銭湯、酒盛り、ロッカーに寝袋。仕事がハードで、学校でいう厳しい部活、板前の修業のようなイメージだったが、とても楽しく有意義な時間だった。3年半お世話になったが、中間管理職的立場になり、自分でやりたかった仕事と相違を感じるようになったのを機に退社した。

別の編集プロダクションに転職。タイアップ関係、ビジネス書関係、占い関係など、さまざまな案件をやらせてもらえた。深夜まで働き、その後に仕事仲間と飲んでからバッティングセンター行き、早朝に家に帰るという生活だったが、ここでもとても有意義な経験をさせてもらえた。約5年間在籍した。「いつかは独立を」と考えていたが、会社が解散することとなり、それを機に個人事業主となった。

―――サラリーマンから起業への転身で不安はありませんでしたか。

サラリーマン生活の終止符から法人設立まで準備期間が5か月間あったが、既に編集に関するノウハウや技術、編集プロダクション時代の仲間が各方面の出版社に在籍、仕事を回してくれる目途が立っていたため、不安はなかった。

―――会社設立時期と会社概要を教えてください。

2005年8月有限会社ジェットを設立し、出版社から編集作業を受注する。

2015年株式会社まる出版を設立し、自社が発行者となって書籍を出版していく。

会社概要:株式会社まる出版

―――仕事で大事にしていることは何ですか。

  1. 締切を守りつつ最高のものをいかに作れるか。※16時には子ども(保育園)の迎えで帰社する。自分たちのキャパシティーを越える仕事量は受けないようにしている。
  2. 仕事を一緒にする相手は、友人であり友情で繋がっていたい。付き合いが長くなるとお互いの環境は変わってしまうが、人との付き合いで大事なのは変わらず相手のことを思いやれるかどうかということ。仕事相手が気持ちよく仕事を進められるように常に考えている(配慮している)。
  3. その仕事を受けることで良い結果にならないと推察できる場合(納期がタイトで締切を守れそうにない、本を作る仲間に無理をしてもらわなければならない、発注側の方針が定まっていない、提示された費用が作業に対してあまりにも見合わない……など)は、仕事をお断りするようにしている。
  4. お客様や取引先とは、営業の話というよりも、その時々で自分が興味を持っていることについて話をするようにしている(自分の趣味のこと、現在読んでいる本のこと、子育てのこと、健康関連で気を付けていることなど)。その話がフックとなって、後に仕事の話が来ることが多い。
  5. 愚痴を言わない事。愚痴を言っても何も始まらないからである。

―――起業して良かったことを教えてください。

  1. 厳しい時代(リーマンショック後)もあったが、最終判断ができ、自分の裁量で仕事が出来る点。
  2. 自社出版の書籍売上がダイレクトに評価、信用に直結する点。
  3. 好きな仕事をしているので「さぼる」ことをしなくなり、時間を大切にするようになった点。

―――今後の目標や実現したい事は何ですか。

  1. 定年がないので、健康である限り本を作り続けたい。
  2. 自分の足跡を残せる会社を作っていきたい。その為に出版には力を入れていきたい。
  3. プライベートでは、ウルトラマラソン(100キロ)等を完走し、子どもにメダルをあげたい。

―――起業を考えている方へおすすめの本はありますか。

・週末起業(ちくま新書)

・転職の思考法(ダイヤンモンド社)

―――起業を考えている方、将来の事で悩んでいる方へメッセージをお願いします。

起業する時には、家族や上司の反対などを説得・納得してもらうのにエネルギーがいる。ある程度の感触を得たらエネルギーのあるうちに始めたほうがいい。時間を巻き戻すことは出来ない。自分の思いを実行に移さないと、後悔する気がする。晩年になって「起業していたら成功していた」と言いながら暮らすのは、自分はイヤだと思った。「起業する」「起業しない」で迷って答えが出ない人は、第3の選択、「会社勤めのまま起業体験をする」などを選んでみるのも良いと思う。例えば、「週末起業」など。迷っているときは不安要素を書き出して、少しずつ実現したい光景にシフトしていく方法もある。

―――インタビューを終えて(藤田感想)

私自身、サラリーマン時代に感じていた事や起業してからの経験より、取材を通して「同感」と思う部分が多く、今までの時間を思い出せていただきました。続きは、また、ランニングでご一緒した際にお聞きしようと思います。次回の第4弾の予定は、2019年12月になります。